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歯科医療コラム

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ラバーダムのアンケート結果

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皆さん、こんにちは。L歯科クリニックです。

前回はラバーダム防湿って何か、またそれにはどんなメリット・デメリットがあるのか?というお話をしました。今回も引き続き、ラバーダムに関するテーマでお話したいと思います。

前回の最後に、日本ではラバーダム防湿を行っている歯科医院は少ないと説明しました。とてもメリットのあるラバーダム、どうして治療の前に行わないのでしょうか。

 

前回でも少し触れましたが、ラバーダム防湿は、とても治療効果が高い。口腔内の細菌から、治療をしている歯が感染しないように、防御の役割を果たしています。特に、根管治療では、必須と考えてもおかしくない程、重要な前準備だと思います。さらに、治療している歯だけを露出して治療を行うため、歯を感染から守るだけでなく、患者さんの舌や頬粘膜も保護することが可能です。我々歯科医師である術者にも、患者さんにも安全に安心して治療を進めることができるのです。

その有用性の高さから、ラバーダム防湿法は、日本歯内療法学会、米国歯内療法学会、さらにはヨーロッパ歯内療法学会(歯の根や神経を治療する専門学会)に定められているガイドラインでも推奨されています。

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2000年のラバーダム使用調査では、日本歯内療法学会の専門医、学会員、学会に所属していない一般歯科医院の3つのグループでアンケートを実施しています。そのアンケートの結果、学会専門医の約60%は根管治療の際に必ず行い、一般的に行うのが21.1%でした。すなわち、何かしらの理由がない限り約80%以上の使用率を認めました。学会員の結果では、根管治療時には必ず行うが51.5%であり、一般的に行うが22.5%でした。これも高い水準を満たしており、学会員の結果は74%のラバーダム使用率でした。最後に学会に所属していない一般歯科医師では、根管治療時のラバーダム使用率は30%程度でした。

 

海外の一般歯科医師を対象としたアンケート調査では、アメリカの調査で最も使用率が高く、2014年では60%でした。英国では2000年までの10年間で10%程度使用率は増加しているものの、日常的にラバーダムを使用しているのは19%未満でした。アイルランドでは必ず使うが27~40%。ベルギーでは使用していない歯科医師が64.5%でした。

この様に、日本の一般歯科医師(歯内療法学会に所属していない歯科医師)の使用率と海外の一般歯科医師(これも歯内療法が専門でない歯科医師)のラバーダム使用率にはあまり差が認められません。しかし、アメリカの一般歯科医師のラバーダム使用率はとても高いことが分かります。アメリカの歯内療法専門医のラバーダム使用率は90%以上です。専門医は厳しい訓練や勉強、実践を数多くこなし専門医になっています。専門医はそれだけ責任を持って治療に臨まなくてはいけません。ですから、メリットのあるラバーダムはほとんどの場合、必須となるのだと思います。

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このように、専門医>学会員>一般歯科医師の順でラバーダム防湿を行っていることが分かりました。もちろん、これに当てはまらない歯科医師もたくさんいます。アンケート調査の結果、このような傾向にあることがわかりました。

 

そんなラバーダム防湿ですが、どうして全歯科医師が行わないのでしょうか。

多くの理由の1つは、医院・診療室に器具がない、あるいは習慣がなく面倒である、です。続いて、ラバーダムをする時間がない。保険点数がない。コストがかかる。これがほとんどの理由を占めています。ラバーダム防湿を行うには、それなりに器具を何セットも用意し、限られた時間の中で前準備として時間をかけてラバーダム防湿をしなくてはなりません。当然、治療に時間を多く割きたいですし、器具の用意や消毒滅菌にもお金がかかります。でも、日本の歯科治療得られる保険点数がラバーダムにはありません。

要は、術者である歯科医師あるいは歯科医院の経営者が、その時間とかかるコストを負担しなくてはならないのが現状です。また、歯科の保険点数は諸外国に比較してはるかに安いのです。日本は皆保険があり、ほとんどの歯科治療を保険内で受けることができます。その制度自体は素晴らしいのですが、歯科医院の経営も慈善事業ではありません。保険治療を数多く行わなくてはならないのです。その現状を考えると、時間もコストもかかり、それを国の保険が補償してくれないとなれば、ラバーダム防湿をしない選択をしても仕方がありません。

アンケートには自費治療時のみ使用すると答えている歯科医師もいました。そのように、費用対効果を考えた結果、日本におけるラバーダム防湿の使用率が低いのだと推察できます。歯内療法学会に所属する歯科医師は、費用がかかってもラバーダムのメリットを認識しているためか、やはり使用率が高いようです。

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L歯科医院では、必要な方、必要な治療であれば、保険・自費治療に関わらずラバーダム防湿を行っています。歯内療法学会の専門医である院長はラバーダムの使用が必要であり、根管治療では必須なもと考えています。もちろん、患者さんそれぞれに適した治療が必要ですので、一番良い方法を選択しています。歯内療法専門医によるラバーダム防湿をした根管治療をご希望の方、またなかなか症状が良くならない方、ぜひ一度L歯科クリニックでご相談ください。

 

 

参考)歯内療法におけるラバーダム防湿に関する調査

   日歯内療誌 42(3):166~173, 2021

 

                    L歯科クリニック 歯科医師 副島寛貴

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