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歯科医療コラム

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なんで根の治療をした歯がまた痛むのか

制作事例_01

皆さん、こんにちは。L歯科クリニックです。

前回は根管治療についてお話しました。歯の神経を抜く(抜髄、ばつずい)という処置になった場合の治療の進め方についてでした。

今回は、根の治療をしたことがある歯が痛むのはなぜか?というテーマでお話したいと思います。

 

以前、根の神経を抜いて治療したことがあるのに、またその歯が痛いのはなぜ?再治療って必要なの?と思ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。むし歯が深くて痛みが出た場合、抜髄といって麻酔をしてから歯の神経を抜く治療が必要でした。前回でも少し触れましたが、神経を抜いた通路(根管と言います)は空洞になっていて、そこに存在する細菌をきれいに洗浄・消毒をして取り除きます。空洞になった根管はずっとそのまま放置しておくと、ちょうどいい空洞が細菌の増えるスペースとなり、また細菌感染を起こしてしまうのです。どんなにキレイに空洞(根管)を洗浄・消毒しても、人間の体を滅菌することはできません。どうしても1つや2つ、目には見えませんが細菌が残っていて、全部を死滅させることはできないのです。ですから、空洞を残しておくとすぐに感染の状態に元に戻ってしまうのです。

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それを避けるために、神経を取った根管の中に、細菌が増えていけないように材料で埋めることをします。それを根管充填と言います。緊密に材料で封鎖してしまえば、酸素を必要として生きている細菌は死滅しますし、酸素が必要ない細菌でも活動できる(増殖する)スペースがありません。このように、しっかり根管充填をして、根管治療を終える必要があります。

 

根管治療を終えた後、「コア・ポスト」といった土台を建てていきます。むし歯で失った歯の欠損部を補うのが目的です。そのコアの上に、最終的な被せ物であるクラウンを合着して全体の治療が終了となります。

 

その治療を一通り行ったのに、数か月後、あるいは数年後にまた同じ歯が痛いとなることがあります。むし歯も取ったし、神経も取ったのになぜ痛いのでしょうか。もちろん、いくつかの原因が考えられます。もしかしたら、かみ合わせが強くて歯が割れてしまっているかも。それとも周りの歯肉に炎症があって腫れて痛むのか。どれも痛みが出てもおかしくありません。ただ、レントゲンを撮ってみると、神経の治療をした歯の根の先に黒い影が映っていることがあります。その場合は、根の先に膿が溜まっていて、それが痛みの原因になっていることが多いのです。いつ頃治療した歯ですか?とお伺いすると、たいていの方は「何年も前だった思うけど、いつだったかな?」とおっしゃる方が多いです。治療後すぐに痛みが出ることもありますが、数年経ってから、根の先が膿んでしまったということが多いようです。

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神経がないのにどうして痛みが出るのか。これも色々な原因が考えられます。割れているなど他の原因を除いて考えると、ほとんどの場合は感染です。またまた細菌による感染が原因なのです。治療してキレイに洗浄・消毒したんじゃないの?と思いますよね。でも、先ほども少し触れましたが、人間の体は滅菌できません。どんなに頑張っても細菌をゼロに死滅させることができないのです。できる限りゼロに近づけていますが、恐らくゼロにするのは難しい。そうすると、わずかな隙間があれば少しずつ、時間をかけて細菌が中で増殖していくのです。でも、神経を取った後、緊密に根管内を封鎖して、土台を建て、クラウンを被せています。そうすると、細菌が増えて周りの組織を感染させて、膿を作ったとしても、歯の上側は道が塞がれていて膿の逃げ場がないのです。そうなれば、細菌によって作られた膿は、根の外側(下に)逃げざるを得ません。そうして、根の先端(根の外)へ膿が押し出されていきます。でも、根の周りは顎の骨です。私たちの歯(根)は、上あご、下あごの骨の中に植わっています。骨の中に膿が押し出されると、骨は固いので戻そうとする力が働き、圧がかかってしまいます。その圧が痛みの原因となるのです。

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なんだか細かい話をして難しいですね。とにかく、結局再治療になる場合の多くは、またしても細菌による感染が原因となります。では、どうしたら再治療にならずに済むのでしょうか。まずは、治療時に細菌をできる限り少なく減らすこと。また、余計な感染をさらに持ち込まない事が大事です。それにはラバーダムという器具を用いることが有効と考えられています。それについては次回お話します。さらに、緊密に根管充填をし、コア・ポストと被せ物のクラウンをしっかり被せて封鎖することです。根管治療を終えてから、最終的に被せるまでの時間が早ければ早いほどいいのです。せっかくキレイに治療をしたのですから、また感染するリスクを下げるしかありません。

 

細菌感染のコントロールというのは、簡単なようでとても難しいのです。限りある診療時間の中で、どこまで徹底して治療を行うことができるのかも大事ですが、治療を行う我々歯科医師の感染に対する意識がとても重要だと考えています。当院では歯内療法の専門医が治療にあたります。しっかり感染に対する勉強をし、重要性を認識しているからこその専門医です。歯の痛み、根の治療にご不安があれば、ぜひL歯科クリニックにご相談いただければと思います。

             L歯科クリニック 歯科医師 副島寛貴

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