象牙質知覚過敏症　Part.1｜石神井公園駅徒歩1分の歯医者｜L歯科クリニック｜平日20時30分まで土日も診療

皆さん、こんにちは。L歯科クリニックです。

今回のテーマは、知覚過敏について2回に渡ってお話したいと思います。。知覚過敏というと、もはや今では専門用語ではなく、一般的に日常で使われている言葉だと思います。また、多くの人が知覚過敏を経験しているのではないでしょうか。テレビのＣＭでも知覚過敏予防の歯磨き粉が宣伝されています。比較的身近なトピックスだと感じます。

No.1　象牙質知覚過敏とはなにか

「知覚過敏」―――象牙質知覚過敏症（ぞうげしつちかくかびんしょう）のこと。生活歯（神経が生きている歯のこと）において象牙質の露出をきたし、様々な刺激による知覚の亢進を主な症状とする硬組織疾患のこと。

歯ブラシの毛先が触れたり、冷たい物などの飲食による刺激によって、一過性に痛みを感じる症状のことです。一過性というのは一時的にという意味です。歯に刺激が加わった際、約1分以内に正常な状態、あるいは痛みが消失する場合は一過性と考えます。歯が痛みを感じるのはむし歯が原因であることが多いので、よく知覚過敏と間違えられることがあります。しかし、知覚過敏とむし歯は全く別のものなのです。その一番分かりやすい例が、一過性の痛みということになります。

我々の体で起こっている現象は、まだまだ解明されていないことも多いのですが、知覚過敏もその1つかもしれません。象牙質知覚過敏症の原因は、主として象牙細管の開口（かいこう）により、細管内の組織液が動くことで神経を刺激するため痛みが起こると考えられている動水力学説が広く受け入れられています。歯の表面には硬いエナメル質があります。エナメル質は無機質（ハイドロキシアパタイト）がほとんどで、有機質はほぼ含まれていません。ということは、神経を含んでいないので、エナメル質がしみる、あるいは痛いということはありません。痛みを感じない組織ということです。しかし、エナメル質の下には、象牙質と歯髄（神経や血管を多く含む）があります。エナメル質の直下にある象牙質は、象牙細管という管があり、管の中は組織液と歯髄から続いている神経が入り込んでいます。冷たい物や歯ブラシの刺激などが加わると、象牙細管の中の組織液が動くことで、入り込んでいる神経に刺激を与え、痛みを感じるのではないか？というのが、動水力学説です。でも、詳細は分かっていません。他の説もいくつかあるのが現状です。

では、象牙質知覚過敏症はどうして起こるのでしょうか。象牙質知覚過敏症の原因となることは意外と多くあります。

１．歯肉の退縮

２．歯のすり減り（咬耗、摩耗）

３．歯が溶ける

４．破折

５．むし歯の治療

６．ホワイトニング

１．歯肉の退縮は、加齢や歯周病により歯肉の位置が段々と下がっていくことに起因します。歯肉が下がれば、歯の根っこが露出し、象牙質がむき出し状態になってしまうのです。エナメル質は歯の頭の部分にしかありません。歯の根の部分はそのまま象牙質なのです。そうすると、歯肉が下がってしまった場合、そのまま歯の根（象牙質）が刺激を受けることになるため、知覚過敏が起こりやすくなります。

２．歯のすり減りは、様々な要因があります。加齢により歯の表面がすり減ることもとあります。毎日毎日ご飯をすり潰して食べていれば、当然歯の噛む面（咬合面）はすり減ってきます。それ以外に、歯の食いしばりや歯ぎしりも大きく歯が削れていきます。

その他、不適切な力で歯を磨くことも要因の1つです。無意識に力強く磨いていませんか？ブラッシング圧は、およそ100～200gと言われています。もしお持ちでしたら、お家にある量りで200ｇを測ってみてください。意外と小さな力で200ｇになると思います。歯科医院では必ず、パームグリップ（歯ブラシを握る）のではなく、鉛筆持ちをしてくださいと言われると思います。ぎゅっと握ってしまうと、歯に伝わる力がとてつもなく大きいため、鉛筆を持つように歯ブラシを持つことで力の伝達を弱めることができます。力強く磨いた方がスッキリするとおっしゃる方も少なくありません。分かりますが、これは歯を削っている行為と全く同じなのです。よく、歯周病専門の先生は、歯を磨く時に音が鳴ってはいけないと言います。シャカシャカ音が鳴っているのは、磨き方とブラッシング圧が強いというわけです。ご自分が磨いている時に、ぜひチェックしてみてください。

このように力を入れて磨くことで、歯の表面が削れていきます。特に、歯と歯肉の境目が削れて、くさび状の欠損となることが多くあります。当然、歯の根元に＜（この様なくさび）くさび状の欠損ができれば、象牙質を削り込んでいることになるので、痛みを感じることになります。

次回は、残りの原因と、象牙質知覚過敏症の治療法についてお話します。　　～つづく～

　　　　　　　　　　　　　Ｌ歯科クリニック　歯科医師　副島寛貴